今日もウインターカップ。
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バスケットのゴールは3m5cmの高さにある。
ゆえにバスケットは「背の大きい選手が有利だ」と言われる。それはある意味で間違いない。
しかし、だからといって背の小さい選手が活躍できないスポーツのかといえば、それは違う。小さくても活躍できる。小さい選手には小さいなりのプレイがある。
男子準決勝、宮城・明成に70-110で敗れた愛知・中部大学第一のキャプテンC遠藤 和希は身長が165cm。
明成のスタメンが全員180cmを超えていることを考えれば、間違いなく彼は背の小さい部類に入る。
それでもチームの司令塔として攻撃のタクトを振るい続け、コート全体を駆けまわった。
「テレビなどで自分のプレイを見てくれている人たちに、小さくてもできることを見せられればと思っています。『心技体』という言葉も最初に『心』がきますよね。やはり心がなければ技も体もないと思っていますから」
もちろん彼はバスケットスキルも、フィジカルも全国レベルのものを持っている。
しかしそれらを伸ばし、保ち続けるためには常に高いレベルの心を維持しなければいけない。
簡単なことではない。
人はえてして困難な道を避けたがるからだ。
学校生活も気楽に過ごせれば、どれだけいいか。しかしそれでは勝負の世界に入ったとき、結果を出すことはできない。
今年度の中部大学第一を振り返って遠藤選手は「学校生活が決してよくはなかったんです」と言う。
しかしそれを直すことがプレイにも通じると常田 健コーチに諭され、まずはそこから見直した。
それが2回戦で福岡・福岡大学附属大濠を倒し、初のメインコートに立つなど成果として実ったわけだ。
「明成は気持ちも面も含めて基本的なところがしっかりしていました。そこが点差を離された原因だと思います」
遠藤選手は完敗を認める。
しかし大会を通じて、1試合ごとに自分たちの成長も実感できている。学年の上下なく、お互いが自分のやりたいことや考えていることを伝え、「でも言うだけじゃなく、相手の言うことを聞くことも心がけている」ことで、チーム内の共通認識は高まり、組織としてのレベルアップにもつながったのだ。
決勝進出の道は途絶えたが、遠藤選手の、中部大学第一のウインターカップ2015は終わっていない。
「常田コーチからはいつも『試合当日までうまくなれ』と言われています。この負けをしっかり受け止めて、それでも今日通用したところは明日も継続し、今日ダメだったところは明日までにしっかり修正して臨みたいです」
今日の完敗とコーチの言葉を素直に受け止め、遠藤選手は明日もまた成長を誓う。
背は小さくても、研ぎ澄ましてきた心の大きさだけは最後まで負けたくない。