東大野球部にカツを入れた谷沢健一の言葉-イマケン

  • 2015年08月30日(日)

珍しく文芸春秋を読んだら、「東大野球部にカツを入れた谷沢健一の言葉」という記事が気になった。

六大学野球で最弱ということと、息子ショウタの東大バスケ部も六大学で最弱という共通点からである。

記事は、春の六大学野球で法政大学に勝ち、連敗を94で止めた、その勝利のかげに、早稲田大学OBで元中日ドラゴンズの谷沢健一臨時コーチの存在があったという。

東大といえば、元読売ジャイアンツの桑田真澄も臨時コーチかなんかで話題になったが、谷沢氏のほうがずっと長く(5年間)関わっているらしい。

早稲田大学の授業で野球を教えていた谷沢氏が、教え子の弟が東大野球部のマネージャーになったことが縁で、東大生に教えることになったのも面白い話だが、割愛。

東大に来てはみたが、すごいカルチャーショックだったという。

寮の玄関を入ったら靴がグチャグチャ、部屋のスリッパとトイレのスリッパが一緒、上下関係が緩い(1年生でもどんどん発言)、バッティングゲージの中にスパイクでなく運動靴で入るなど、早稲田では考えられない状態だったという。

ただ、谷沢氏が指摘をすればすぐに対応した。

谷沢氏によれば、彼らは、自分で勉強して自分で道を切り開いて東大野球部に入って来た、だから、他人についてはあまり干渉しない。そういう雰囲気があったという。

実技は弱くとも、彼らは、考える力はさすがにすばらしい。全試合をビデオにとって、一球一球緻密に分析している。だから、負けても、良い試合をしたときは、ロッカールームでワンワン泣いている。

ただ、こんな谷沢氏の話を最初から受け入れるのは、3分の2で、3分の1は、「プロでもないのに無理」と受け入れないらしいが、そういう部員をなびかせるのはじっくりとしたコミュニケーションだ。

新人投手がリリーフの順番を決めておいてくださいと意見したり、控えメンバーが氏に午後の練習時間を予約したりと、早稲田では考えられないようなこともあるが、根っこには野球が大好きという彼らの気持ちがある。

感覚じゃなく、論理的に説明しないと納得しないが、自分の勉強にもなる。きちんと話せば、人間対人間の関係を築ける。

厳しい勝ち負けとは別の野球を今、谷沢氏は楽しんでいる。

そして、将来、スポーツの世界を変えてくれと、彼らに言っているのだそうだ。