ウインターカップ転載2-イマケン

  • 2017年12月24日(日)

転載その2です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
“不完全燃焼”を燃え尽くして

県立郡山商業(福島)の3年生たちにとって、この3年間は酸いも甘いも味わってきた3年間だった。もともと彼女たちは、お互いにミニバスや中学時代から顔見知りで、2017年に地元の福島県で開催される南東北インターハイを見据えて県立郡山商業に入学してきた選手たち。下級生の頃から主力として活躍し、長く県内のライバル・県立福島西の壁を越えられずにいたが、昨年ついに2年生主体でウインターカップに出場。そして今年、3年ぶりとなるインターハイ出場を手にした。

インターハイ前に行われた東北大会では、チームの代名詞とも言える“泥臭さ”を発揮して聖和学園(宮城)を下し、悲願の初優勝。来たる地元インターハイに向けて、これ以上ない形で弾みをつけた。

ところが、迎えた地元インターハイ、チームをアクシデントが襲う。1回戦の奈良文化戦で、キャプテンのC佐藤 由佳選手が腰を負傷。続く2回戦、ケガを押して出場したが本調子とは言えず、61-67で富士学苑に敗れた。試合後、2大エースとして佐藤選手とともにチームを引っ張るF須藤 郁帆選手は、「キャプテンの穴を埋め切れなかったです」と悔し涙を流した。

こうして、不完全燃焼で終わってしまった“勝負の夏”。だからこそ県立郡山商業は、このウインターカップ2017での雪辱に燃えていた。大会前には、佐藤選手らが手作りのカウントダウンカレンダーをサプライズで作って部室の扉に貼り、大会までの一日一日を大切にしながら、練習に取り組んできたと言う。

そのウインターカップ初日は、県立新居浜商業(愛媛)に83−59で快勝して1回戦を突破。そして2回戦、180cmのオールラウンダーC奥山 理々嘉︎選手を擁し、全国屈指のオフェンス能力を誇る東京・八雲学園と対戦することになった。

序盤は、点の取り合いについていった県立郡山商業。だが、「シュートの精度は想像以上でした。シュートチェックのあと一歩が詰められなかった」と松本 理コーチ。得意のオールコートプレスも「第1ピリオドを終えて予想以上に選手たちが疲弊していたので、少し我慢することになりました」と繰り出すことができず、じわじわとリードを広げられてしまう。前半を終えて34−47。第3ピリオドには20点以上の差をつけられ、勝負はほぼ決してしまった。

だが、県立郡山商業の選手たちは、ここから開き直ったかのようにアグレッシブにゴールへ向かった。オールコートプレスで相手のミスを誘い、速い展開から次々とゴールを奪う。第4ピリオドの残り8分、須藤選手が5ファウルで退場となったが、集中を切らさず、「先生から『最後の意地を見せろ』と言われて、3年間やってきたことを出し切ろうと思いました」という佐藤キャプテンを中心に攻める姿勢を貫いた。そんな姿を見て、松本 理コーチも「試合中に涙が出たのは今までの指導歴の中で初めてです」と、ベンチで思わず目頭を熱くしたと言う。

最後は73−96で試合終了。結果的には夏と同じ2回戦敗退となったが、数字には残らない“東北の粘り”を、十分に披露したゲームだった。佐藤選手はこれまでの濃密な日々を振り返って、こう話す。
「苦しいことも多かったけど、楽しいことも多かったです。今年一年、部員24人でグンショー(郡山商業)のバスケットをやってこられたことは一生の宝物ですし、24人を率いてくれた松本先生には感謝の気持ちでいっぱいです。プレイだけでなく、精神的にも人間的にも成長できた3年間でした」

その顔は、不完全燃焼に終わった夏とは大きく違って、すべてを出し尽くしたような晴れやかな表情だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「泥臭く」という言葉に反応してしまうイマケン。ベアーズは、泥臭く戦う。