ウインターカップ現地レポートから(7)-イマケン

  • 2016年12月27日(火)

今日も見ました。第7弾です。

http://wintercup2016.japanbasketball.jp/column

男子準々決勝、船橋市立船橋(千葉)は、ベスト4進出を懸けてインターハイ王者の福岡第一と対戦した。

福岡第一と対戦するにあたり、船橋市立船橋の近藤 義行コーチは「相手は王者ですので、まともに戦ったら裏目に出るかなと。開き直って捨てる場所を作ろうと考えて、相手の外角のシュートは捨て、重冨兄弟(C周希、D友希)のペネトレイトだけは絶対に抑えようとディフェンスを組み立てました」と対策を練っていた。
そうしたディフェンスが功を奏し、前半を終えて8点差に食らいつくと、第3ピリオドにはF赤穂 雷太選手がオフェンスリバウンドやアシストで奮闘。その赤穂選手を起点にO野ア 由之選手やL保泉 遼選手が得点を挙げ、後半開始5分で同点に追いついた。

だが、王者・福岡第一の壁は高かった。リバウンドから一瞬でリングまで走り込む鮮やかなブレイクは、分かっていながらもなかなか止められず、速攻を止めてもC重冨周希選手らのスピードとテクニックを生かした1on1でかき回される。さらに福岡第一は、1年生のN松崎 裕樹選手が速攻やドライブなどで躍動。再び流れを引き戻し、10点リードで入った第4ピリオドもそのままリードを保って、最後は79−62でタイムアップとなった。

敗れた船橋市立船橋だったが、試合後、近藤コーチの表情は晴れやかだった。それは、選手たちが、この1年間で心身ともに大きく成長を見せたからである。

振り返れば、春先の船橋市立船橋はチームが噛み合っていなかった。194cmの赤穂選手に、将来を見据えて本格的にポイントガードに挑戦させることになり、得点源を担うのはO野ア選手やL保泉選手といった経験の浅い2年生たち。何より、近藤コーチが常々課題に挙げていたのは主力選手たちの“おとなしさ”、それに伴う気持ちの弱さだ。

「例年は“我”の強い選手たちをまとめてチームを作っていくのですが、今年は逆に、“我”がなさすぎるんです。おっとりしているというか、優しすぎるというか…。とにかく真面目で、おとなしい選手ばかりです」と、近藤コーチ自身、いつもと違うチームカラーに戸惑いを隠せなかった。実際、春先の交歓大会では、勝負どころで気持ちの弱さが露呈し、接戦を落とすことも多々あったという。

だが、船橋市立船橋は徐々に変わっていった。赤穂選手のガード化により新しいオフェンスシステムを導入し、チームがなかなか噛み合わない危機感があったからこそ、「例年の2倍練習して、2倍試合をこなしてきました」と近藤コーチ。そうした練習量が、選手たちの自信となり、技術の面だけでなく、メンタルの面の成長も促したのだ。

その中でも、今年頭角を現し、チームに欠かせない大黒柱となったのが3年生のセンターD田村 伊織選手だ。肉体改造を図り、体重を10キロ落とした田村選手は、走り合いのラリーにもついていけるようになった。そうしてプレイの幅が広がったことで、周りを見て声をかける役目も田村選手が担えるように。「田村伊織が声を出すと、チームも盛り上がる。あの子がこのチームの“おとなしさ”を打開してくれました」と、近藤コーチも高く評価する。

チームとして大きく成長した船橋市立船橋は、結果的に関東大会優勝、インターハイとウインターカップでベスト8という結果を残した。いずれも簡単な試合はなく、関東大会の決勝(vs 正智深谷)は6点差、インターハイ3回戦(vs 光泉)は1点差の接戦を制するなど、力の限りを尽くして積み上げてきた誇れる結果だ。

近藤コーチは、「彼らの持っている力やキャリアから考えれば、最高の結果を出してくれたと思います。厳しい練習にもよくついてきてくれました」と、この1年間苦労を乗り越えてきた選手たちを、手放しに称えた。

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「声を出すこと」の大切さ!  センターでも走りあいについて行けること!