もうひとつの高校野球-イマケン

  • 2013年09月01日(日)

8月31日付朝日新聞で、印象に残る記事があったので、紹介したいと思います。

「ひと」という欄で、「全国高校軟式野球選手権大会」で初優勝した、横浜修悠館監督 丸山王明(きみあき)さん(46歳)を紹介する記事でした。
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 異色のチームを率い、初出場で初優勝を決めた。部員56人全員が県立の通信制高校・横浜修悠館に籍を置きつつ、自衛官を養成する陸上自衛隊高等工科学校(神奈川県横須賀市)で寮生活を送る。

 自身は自衛官ではない「文官」だ。高等工科学校で保健体育を教える「防衛教官」。横浜修悠館の非常勤講師でもある。球児だった高校時代。教師と高校野球の監督を志した。25歳のとき、人の勧めで防衛教官になったが、当時は自衛隊に興味はなく、翌年に軟式野球監督になったものの、いずれ普通高校に移るつもりだった。

 この道にとどまった理由は、国内外で活躍する教え子の存在だ。イラク戦争でサマワに派遣されたり、福島第一原発事故後に放水したヘリに乗ったり、彼らの勇気や人への思いやりに接するたび、誇らしくなる。「僕の仕事は野球を通じた人間作り」と実感した。

 部員には先輩が命がけの現場で何を考えたかを話し、「自分で考え、人生を切り開け」と伝える。選手は自分の判断で盗塁し、守備位置を変える。県大会ではベンチで伝令を送ると、「監督は黙って座って」と逆に伝令を返された。今大会でも投手を代えようとしたら、捕手から「経験を積ませましょう」と続投を進言された。「まさかここまで成長してくれるとは」。優勝を決め、校歌をうたう選手らの背中を前に涙した。